45/ゴシック

ゴシックくんのこと

「野良猫を保護したのですが、うちの先住猫に追い回されたからか、ケガをしています。このままでは可愛そうなので、ティアハイム小学校で保護して頂けませんか……」

鍵しっぽの黒猫、ゴシック君が入学した経緯は、こんな保護主様からの依頼でした。

黒猫なので分かり難いのですが、確かに背中にケガがあり、強い攻撃性もありました。そして常に怯えていて、どの猫、どの人にも心を許しません。
小川担任が撫でようとすると、その手を抱えて、本気の噛みつきと猫キックの連打。こちらも出血するほどの傷ができ、まともに触れない状況でした。

ですが、ゴシックの背中のケガがかさぶたになって少し剥がれてることに気付き、強引に全体を触ってみると……明らかにおかしいことに気付き、すぐに専属の獣医師さんに診てもらいました。

獣医師さんの見立てによると、「背中の広範囲にやけどの跡があり、治癒しないまま毛が生えてきている危険な状態」。保護主様の猫が追い回したからケガをしたのではなく、それより前に、何者かに熱湯か熱い油をかけられたことが予想されました。

壮絶な虐待と、ゴシックの気持ちを思い……私たちは言葉を失くしました。

すぐにゴシックの治療が始まりました。
痛みを伴う治療は、猫にとっては「いじめられてる」ことに他なりません。ゴシックならなおさらそう思うはずです。でも、いつか分かってくれると信じて、丁寧に、根気よく、ごめんねと言いながら、毎日の治療を続ける他ありません。

幸いゴシックはちゅ〜るに目が無かったので、抗生剤はちゅ〜るの開け口へしのばせ、一気に口に出すことでスムーズに投薬ができました。消毒もちゅ〜る中に行い、それを繰り返すうちに、次第にお互いの緊張感も薄れてきた感がありました。

「もしかしてこの人間は、僕に美味しいものをくれるし、僕を治してくれているのかな。」

そう思ったかは分かりませんが、ある日、本気噛みではなく、甘噛みをしてくれるようになりました。頭を撫でてもすぐには噛みつかず、しつこくやると噛みつく、というところまできました。機会が訪れたのを感じました。

それからは徐々に、ちゅ〜るが無くても消毒させてくれたり、手にすり寄ってくれたり、猫キックも加減してくれるようになってきて、同時に治療も進み、背中の状態もどんどん良くなっていきました。

そして今では──

ゴシックは、他のねこ達が居る大部屋で過ごしています。落ち着きはありませんし、まだまだ問題児ですが、大きなトラブルはありません。小川担任が部屋に入ると一番に駆け寄ってきて、お膝に乗せろと要求してきます。

膝に置き「少し落ち着きなさい^^;」と撫でてやると、嬉しそうな顔でゴロゴロ喉を鳴らします。たまに腕を抱え込んでの猫キックはやらせてあげますが、きちんと加減してくれます。

かつて虐待を受けた、人間不信の猫。
でも今は、甘えん坊のいたずらっこ。

背中と顔に少し白髪と禿げ跡が残りましたが、それも彼のチャームポイントです。

心を開いてくれてありがとう。
再び人を信じてくれてありがとう。
いつも元気でいてくれてありがとう。
きっと優しい里親さんを見つけてあげるからね、ゴシック。

45/ゴシック
45/ゴシック
45/ゴシック

大変良い猫です

ロイ君のこと
男だロイ君
あち君のこと
ゴシック君のこと

HOME